筆談ホステス2
昨日,本屋さんへ行って 筆談ホステス の本を買ってきました。夕食の後 とても楽しみに読み始めました。見開き最初に斉藤さんの和服姿の写真と「辛いことは幸せの途中ですよ」という言葉が記されていました。ある会社員のお客さんとのお店での会話の一部です。この本は斉藤さんの生い立ちから始まり、聴覚障害を持った幼児期、まじめで優秀な学童期、家族、友人関係、十代の荒れた高校生活、中退そして社会人、水商売の世界から将来の夢を聴覚障害者の苦難を銀座ホステスの今日まで人生を周囲の人間模様と共に描いた自伝でした。本を読んで、斉藤さんの直筆がいたるところに記載されています、とても綺麗で、優しい文字です。水商売で接客業をするということ、会話の出来ない人が生きていく切なさと、とても強い意志で生き抜いた素敵な女性だと思います、そしてまだ25歳の若さです。斉藤さんの魅力に引かれ2時間余りで読み干しました。途中、目頭が熱くなり、私自信、このような環境にいたならどうかなとも考えました。高校中退の彼女が、言葉や漢字の意味を使いこなし、ユーモラスで巧みな表現、多くの賢人からの明言の引用、本当によく勉強し努力したんだなと思います。幼少のころの習字を習ったこともその一因だと思いますが、技術面だけでなく、彼女の心の優しさが文字や文書に表現されています。
私たちはコミニケーションを取るときに普通に会話でお互いの意志を確認します。おそらく文章にしたら大変な文字数でしょう。しかし 斉藤さんのように 筆談ではわずかな文字数で意志の疎通をします。そこには文字だけでなく、顔の表情もあるでしょう、限られた時間の中で、相手に気持ちを伝えることが出来ること、相手の記述や表情から心を読み、気持ちを悟ること、何か 私たちが置き忘れた大事なものがあるような気がします。会話の大半は無駄なことが多いのかもしれません、本当に大切なことは、ほんの少しの部分で済むことなのかもしれません。斉藤さんは、カラオケにも行くそうです、お客さんの歌声は聞こえません 歌っている方の喉に触れ、高音、低音を振動で判断するそうです。コミニケーションの取り方、少し考えてみる必要があるかもしれません。特に最近は直筆の文字からデジタル文字への文章が多くなっています。私も 乱筆のためなかなか筆を持つ機会がありません。書体や文脈でその方の性格や印象も大きく変ります。綺麗な正しい文字と表現の大事さ、日本語の美しさ改めて痛感しました。
文頭に書いた、辛いことは幸せの途中 これは 辛いという文字に 横棒 一を加えると幸せという字になり、人生ってそんなものでしょ!もう少し頑張れば次には幸せが来ますよ。なんとも意味深い、素晴らしい表現だと思いませんか。
最後に斉藤さんの夢 健常者と障害を持ったかたとの共存できる職場を持ちたいとのこと素晴らしい考えだと思います。是非 是非 実現してほしいと思います。里恵さん頑張れ!
2009年8月24日 10:23 AM カテゴリー: 医院長のひとり言