国際社会へのかかわり(ロータリークラブ卓話より)

 私のアジア諸国とのかかわりの初めは、歯科ボランティアがきっかけでした。民間の団体KADVO 神奈川海外歯科医療団に大学在籍のころより参加したのがこの団体とのかかわりの最初であります。このKADVOは発足当初は神奈川歯科大学同窓会の有志で結団されましたが、現在では日本の各歯科大学出身者の混合医療団となってます。KADVOの活動も フィリッピンを初め中国、タイへと活動の輪をひろげ、1998年よりタイ国、クロントイスラムを最初に50名に及ぶ歯科医療団を毎年タイに派遣し、貧困の地域での歯科治療を行いました。私は2003年~4年の2期にわたりKADVOタイフリークリニックの実行委員長を任され、バンコク西北約170kmに位置する、カンチャナブリ地区での歯科医療活動を行いました。
このカンチャナナブリ地区は「戦場にかける橋」で有名となった場所で、タイでも景勝地と知られ毎年日本人を初め多くの観光客が訪れる場所でもあります。しかしながら此処の地域の農民たちの収入は低く、月収で約3,000B、日本円で約10,000円程度であります。歯科医療はといえば、抜歯で1歯500円、虫歯の詰め物で焼く1,000円、歯石除去で3,000円では到底歯科治療などうける余裕もありません、このような地域で少しでも歯科治療の必要性認識と、予防活動を行なうことでタイ国内での口腔衛生の向上に寄与する為に歯科治療活動を行っている次第です。しかしながら実質2日間程度の日程しか取れない為に決めの細かな治療が出来ないのも現状です。2004年9月に行なわれた無料歯科治療では1日約1000名の以上の患者さんが見え、遠方からトラックやバスに乗って多くの子供たちや大人がやってきました。現地での医療関係者は日本人歯科医、医療関係者他タイ人歯科医、ボランティアを含め約200名程度のスタッフで行なわれました。治療場所としては小中学校の講堂、日本の体育館のようなところで、簡易診療室をつくり行ないます。イメージは野戦病院の様です。
此処の中は冷房もない為役40度近くにも及び日本人スタッフは不慣れな場所と、環境でいつも汗だくになって治療を行います。そのため疲労も重なり長時間の診療には精根尽きますが、いつもその疲れを癒してくれるのは現地の子供たちの明るい笑顔と感謝の気持ちです。此処に来るたびいつも思うことですが、日本人が忘れかけたものに出会えるような気持ちになります。
人に感謝する心、未来を希望する瞳、貧しい環境ですが、此処には未来があるようです。そんな気持ちにさせてもらえるタイの歯科治療ですが、2004年にカンチャナブリロータリークラブの方々も手伝いに来てくれたことよりこのとき、調布ロータリークラブのバナーを交換しました。これがロータリアンとしての最初のかかわりの一歩でした。
 2004年12月26日 スマトラ沖地震の発生でタイの沿岸地域は大変な打撃を受けました。今期私は国際奉仕委員長を仰せつかり、この津波に見舞われたタイに人たちの為に支援を行ないたく、マッチンググランドの計画を立て、カンチャナブリロータリークラブと合同事業「クリーンウォータープロジェクト」を計画しました。これは被災地へ 浄水器の設置を行なうものです。このため今年11月に本会の福沢会員と共に カンチャンブリロータリークラブ、国際奉仕委員長と面会し、事業実現に向けて協議してまいりました。この事業は調布ロータリークラブの始めてのマッチンググランドでもあり、私自身大いに期待するものであります。今後ともこの津波支援事業の実現に向けて現地との協議を続けていくところです。
 

2005年12月1日 11:51 AM  カテゴリー: 院長報告