何の為の治療

 先月のことでした、遠方からの患者さんで上顎ブリッジが取れたので見てほしいとの事で来院しました。お口の中を拝見すると 奥歯はほとんどなく前歯のブリッジで咬んでいる状態で、そのブリッジも虫歯と歯槽膿漏で外れてきました。患者さんにもうこの歯は保存不可能と伝えました。患者さんに今後の治療方法を説明し、「申し訳ありませんが義歯を制作させてください」とつげその日は型を取りました。本来なら抜歯後に義歯を作るのですが、歯がなくなると困ると考え先に総義歯を制作し、完成後 抜歯して義歯を装着しました。初めての義歯で不便をかけると思いますが、歯がない時期をなくす為にこのようにいたしました。予定のように義歯が完成し 抜歯を来ない、その日のうちに新しい義歯を装着しました。調整の為に数日後来院していただき、今後の治療方針を患者さんと検討しました。患者さんは最初からインプラント治療を望んでいましたが、まずはインプラントをする前に通常の治療を行っていただき、本当に義歯を受け入れられなければ、インプラント治療を行なう説明のもと治療を行ったんのですが、患者さんからの、義歯の評価は残念ながら低いものでした。この患者さんは上顎は無歯顎 下顎は大臼歯3本欠損でした。インプラント治療を行う上、幾つかの問題を解決しなくてはなりません。治療方法、費用 患者の健康状態・・・。私は治療に入る前に治療方法を幾つか提示し、説明書に記載することを常としてます。患者さんに事前に渡して、良く検討してくださいと、必ず書式似て渡します。この方にも、そのようにしました。再来院時に、改めて インプラント治療を行うか否かをお聞きしましたところ、是お願いしますとの事でした。患者さんは少し高齢のためと体は細い人でしたから、栄養状態と健康検査の為血液検査の依頼、そして全身の問診表を渡して、次回間でに持ってきていただけるよお願いしました。ところがいつになっても、検査表や問診表を持ってきていただけません。患者さんに検査はどうしましたと尋ねても、明確な返事は返ってきません、もしも、いいにくいことがあったら問診表に記入してくださいとの事も伝えてありましたが、それもいただけませんでした。私は 患者さんの治療を行うときに、必ずその方の性格や人柄も判断の一つとしてます。患者さんとその家族の方とインプラント治療について相談しましたか、否かも心配でした。私が必要に、治療説明をしても、そっぽを向いてただうなずくばかりで、何か質問や聞きたいことはないですかと言っても、ただうなずくばかりでした。患者さんには失礼かと思いましたが「説明してるときは 私の目を見てください」というとやっと、こちらを振り向く程度の方でした。結局この患者さんの治療はお断りしました。高額な費用もかかります、大きな手術もしなくてはなりません、まして患者さんがどのようにしたいかの希望も聞けませんでした。ただインプラントをしたいと言うだけでした。あくまでもインプラントは人工の歯を支える 土台にしか過ぎません。インプラントをするのが目的ではないのですが、わかってもらえなかったようです。この方を救って上げられなかったのは残念ですが、結果的に良かったかなとも思っています。明確な目標がない努力は、お互いの為に良い結果を生まないのではと思ってます。
 

2006年6月27日 4:37 PM  カテゴリー: 未分類

出張インプラントオペ

 先週の土曜日は午後3時の診療終了後知人の歯科院へ、インプラント手術のお手伝いに行きました。
この先生は私の先輩で、一般歯科では経験豊富な先生なのですが、インプラント治療を導入して間もない為、手術のお手伝いに行きました。私も、インプラント治療を始めたころには、ベテランの先生に指導、お手伝いしていただき、大変心強く感じたものでした。特にインプラント治療の結果を左右するものは、手術をいかに間違いなく行なうことが重要です。もし此処で、失敗したら 患者さんも大変な思いをするでしょうし、行なった先生も、二度とインプラント手術を行なわなくなることと思います。ですから最初は絶対に成功するような 術式とインプラント装置の選択をしなくてはならないのです。今回の場合も術前のCT画像の準備、前日の手術シュミレーションを行ないました。このケースは インプラントを導入し始めのケースとしては、難易度の高いものでしたが。これが難しいのか否かもはじめたころはは判定が難しいのです。
CT画像では、インプラントを埋入する為の骨量はあるようですが、いざ手術となると、全く次元の異なることも多いのです。特に我々の処置は 真っ白な画用紙の上に自由に絵を書くようなものですから、その描き方によっては全く思った結果と異なるものになってしまうこともあります。また口の中は、狭く、処置を行なうことが難しい場所も多くあります。患者さんの口の開け方も、大きく開けない方もいます。舌が邪魔する方もいます。このような場所にインプラントを入れる穴を掘るわけですが、細い骨、硬い骨、中には骨の中に空洞のあるもの、様々ことに遭遇します。特に顎の中には神経や血管の密な部分もありますので、とても注意が必要です。歯科医なら通常判ってることですが、経験が少ない、いざというときに、余裕がなくなり 頭の中がパニックになることもあります。私も最初のころは、そんな経験もしたことを覚えてます。
だから最初の手術は 絶対に失敗しないことが肝要です。その結果が良くなくては次の手術も行なわないと 経験も詰めません、上手にもなれません。今回の手術は 難しいケースでしたが とてもうまくいきました。担当の先生も安心され、患者さんに手術の結果報告をしました。共に大変喜んでいました。微弱ながら、お手伝いできたことを私自身、喜んでいます。今は インプラント治療も成熟した時期と思いますが、どんな良好なシステムを使用したとしても、所詮、行なうのは人間です、失敗はないとは断言できません、無論私もその一人です。ですから、研修をしてより安全処置方法、システムを探さなくてはならないと思います。多くの学会に 最近はとても若いし先生方が多く見えてます、勉強することは大変良いことと思います、しかしその反面あまり経験のない方が、メーカー営業マンの勧めるままにインプラント治療を行い過ぎる傾向にも少し疑問を感じることは私だけなのでしょうか。これからインプラント治療を導入される先生、また経験の少ない先生は是非、ベテランの先生と一緒に処置を行なうことをお勧めいたします。

2006年6月19日 10:03 AM  カテゴリー: インプラント関連

多くのパトロンの支えによって

 昨日のワールドカップ、1次予選、日本対オーストラリア戦を楽しみに観戦した方は何万人にも及ぶことと思います。後半残すところ10分でまさかの逆転劇がまってるとは・・・。全く勝負は終わってみないと判らないものです。この会場には、大変な数の日本人サポーターが応援に駆けつけてました。サッカーではこのような人たちをサポーターと言います。昨日はもう一つ日本人が大活躍しました。LPGAでの藍ちゃんの活躍です。女子メジャーのマクドナルド選手権で3位は快挙です。ワールドカップの影であまり多くのニュースでは取り上げられなかった様ですが、2週連続最終組で回り、LPGAツアー参加4ヶ月でのこの結果は素晴らしいことと思います。この大会でも多くの日本人の応援者が会場に来て声援を送っていたようです。藍ちゃんのファンは日本人ばかりでなく多くのアメリカ人もいるようです。ゴルフではこのような人たちをパトロンといいます。日本ではパトロンというと(愛人)あまり表現のよくない言葉のようですが、このような熱狂的ファンを指します。どちらかというとこのパトロンは サッカーのようなチームのファンではなく、一人に対してのファンを言うようです。このパトロンではゴルフのマスターズトーナメントにおけるアーノルドパーマーのファンは、アーニーズアーミーと言って熱狂的なファンの総称で呼ばれてました。
 歯科医師でも高名な先生の患者さんは、その先生のファンも多いようです。技術ばかりでなく その人柄や人生観に魅力を感じる方がい多い事だと思います。私の恩師の先生にもそのような方がいます。歯科に於ける知識や技術は多くの経験に支えられ素晴らしい仕事をします。特に、私が魅力を感じるのは その先生の人柄の良さです。チョットぶっきらぼうな言葉使いですが、それがまた、親近感を覚えます。おそらく患者さん対しても同じようではと想像します。しかし決して、人を馬鹿にしたり 見下したりはしない先生です。患者さんが困って治療に行ったときには「判ったから 俺に任せろ!」というタイプではないでしょうか。この先生からは多くのこと教えられました。「人前で話す時は自分の考えはだめだ、多くの研究論文をリサーチして、治療の結果の背景を論じなくてはいけない。」といわれました、とても重要なことと思います。
 歯科治療を行う上で患者さんとの信頼関係は大変重要です。どのような治療であっても、患者さんに理解していただけないと、良い結果はついてこないと思います。私も、経験上幾つか嫌なことも感じたこともあります。長い時間をかけて、説明し、治療の確認しても、無駄なことになってしまうこともありました。とても残念なことだと思います。このパトロンまでとは行かなくても、人を信頼し、良い関係を持つことはお互いの為にとても重要で良い結果をもたらす事になるのではないでしょうか。

2006年6月13日 10:35 AM  カテゴリー: 医院長のひとり言