先生、こんなもの入れられない!
先日インプラント治療によってかみ合わせの機能回復を行なった50代、男性の患者さんの、半年前の訴えでした。
この方は 半年前に歯周病で上顎のブリッジと下の歯を、合計5本抜きました。ブリッジはできない為、まずは費用をかけないようにと保険で入れ歯を作り、使っていただくことにしました。義歯を装着していただいた日に、まず使用してみてくださいと患者さん告げ、その日は帰宅していただきました。次回の予約日に来院されたときに患者さんは不機嫌な顔をしてました。いかがでしたかと尋ねると、「気持ちが悪くて 口の中に入れられない。」とのことでした、義歯については ご自信のなれも必要とのこと、当たりの調整も必要とのことを説明し理解していただきました。その後数ヶ月後に再度来院されました。「義歯の調子はいかがですか」と尋ねると全く使ってないとのことでした。患者さんは他に何か良い方法がないかとのことでしたので 今までのようにブリッジの設計は前後の歯がない為不可能とお話しました。インプラントのついては、説明しましたが、患者さん自身がそこまでの治療を求めなかった為(口腔衛生に関心がない事)と抜歯直後の為に選択からはずしました。しかし 今回の来院でインプラントで出来ないかとの申し出もあり、レントゲンを撮影し検討しました。検討の結果 難しい手術でしたが上下に5本のインプラント処置し、現在はご自身の歯が再生したかのように満足されているようです。患者さんの治療を行ってると、この方の歯科に関する興味がでてきたのか、非常にブラッシングも良くなり、環境の良い状態が出来るようになりました。インプラント部のみならず、保険の冠も良いものに変えてほしいということになり、とても綺麗な口元になりました。当然咬み合わせの機能回復も出来 歯周病で何年も好きなものが食べられなかった事から、これから何でも食べてみたいと張り切っておりました。失礼なことかと思いますが、性格も大変明るくなったようです。以前は 不機嫌な顔をして診療室に来れましたが今はニコニコされて来院されます。
この患者さんの最後の治療で奥歯の冠のやり返しを予定してました。取り外したら 虫歯と歯周病の進行で保存が難しい状態でした、患者さんにはとりあえず残しましょうかと伝えると「先生、インプラントで出来ない?」といわれました。ちょっと驚きでした。患者さんからインプラント処置を積極的に言われないのですが、この方は今までの結果に満足され、完璧な状態を望む結果なのかと思います。人って変われば変わるのだなと思いました。私はこの方に最初にインプラントしなくてよかったと思ってます。なぜなら 最初にインプラントを受け入れられたとしても、あまり口腔環境の衛生意識のない状態ならこのインプラントも他の歯と同様に歯周病状態になって 短命になったと想像します。今、この方は毎日の食生活や歯を磨くことも楽しみなようです、口腔環境もとても良い状態です。歯周病も進行が止まり良い状態です。私も患者さんの期待に応えるために最後のインプラント治療を行うこととしました。
歯医者の仕事は口の中の状態を良くする事が目的ですが、この患者さんののように人生観までも変わって 明るくなっていただいたことも医者冥利につきることだと思います。
2006年4月28日 11:47 AM カテゴリー: インプラント関連