信頼できるメーカーの選択

 先日、偶然にケーブルTVのディスカバリーチャンネルをつけていたらたら、スピーカーからインプラントの失敗という言葉が発せられていたので、TV画面に目を向けてみると人工股関節(生体に使用する人工臓器を総称してインプラントといいます。)が生体と結合しない事故が発生した。処置された多くの患者さんが痛みや違和感を生じたことから事件が発覚したようだった。人工股関節も私たち歯科界で使用する人工歯根も同じタイタニウムすなわちチタン合金である。その生体に接するチタンの表面構造は歯科インプラント全く同じで微小な凹凸を持った粗造面を有しており、凹凸な部分が製作過程で汚染されたため生体と結合しなかった症例がアメリカ国内で約4000症例にも及んだ報告であった。もちろんこの事故の検証を行った病院や研究機関は同一の会社で製品化された人工股関節のみ接合不良の事故が以上に多く、またある一定の時期に発現したことから、手術方法や病院、医師の過失でなく、製品の製作過程での何らかのミスがこのような事故を多発したと結論付けた。その原因はインプラント加工過程での削りだしのときに冷却水の中にハイドロカーボン(炭化水素系)の汚染物が混じりその粒子がインプラントの粗面に付着した結果チタンと骨が結合(オステオインテグレーション 骨結合という。)ができず失敗にいたったとのことである。このことで多くの医療機関はその結果を患者さんに報告し再手術の説明をし、患者さんは再度の手術を受けなくてはならないのである。これには多大な精神的肉体的苦痛や経済的な損失が伴う。もちろん生産者のメーカーも甚大な損害賠償をこうむることになろうが、最も深刻なのは何も知らずに手術を受けた患者さんであろう、再び歩けるようになるのか その傷跡はどうなるか心配は尽きないと思うのである。私はインプラント治療を行うものの一人として、患者さんにはできる限りの最高の医療レベルの手術を提供するために術者は、知識や技術の習得をしスキルアップを常にしなくてはならないと考えます。また使用する器具機材は厳選されたものを使用すべきと思ってます。特にインプラントは生体内に置かれるものですから信頼できるメーカー以外使用するつもりはありません。現在インプラントメーカーは日本で買えるものは、国産 外国製のものを含めて20数社から購入できますが、私の見識ではこの中で3社だけ信頼しております。またそのうちの2社の製品を当院では患者様に提供しております。27_1.jpg

2004年10月29日 12:17 AM  カテゴリー: 歯科技術情報